*Complex+Drive*

勝手に上から目線の、真っ黒な。

日本初の《バチェロレッテ》は失敗だったのか。

※※以下バチェロレッテ・ジャパンシーズン1※※
※※最終回までのネタバレを含みます※※

 

 

 

 

 

 

 

ニュース記事として出回ってくるバチェロレッテ・ジャパンの感想記事は、概ね好評価(もしくは賛否両論)であるが、何のしがらみもない我々OLの間では、ことごとく不評である。

「あんな終わり方ってない」
「本当にがっかり。時間を返して欲しい」
「ルールを守らない時点で最低」
「最後で超つまんなくなった」
「ここまで引っ張り回してさ『私の人生』って何様だよ」
「もう杉ちゃんでいいじゃん」
「他のバチェラーみたいに、付き合ってみて別れてもいいじゃんねー」

週明けの月曜日、昼休みに飛び交った会話の一部である。

ああいった配信番組の何を以て“成功”または“失敗”と評するのかは、様々な立場・見方があるだろうが「面白かった」「楽しかった」という、視聴者の好意的な満足感をひとつの指標とするならば、“ 失敗”と評されてもおかしくはないだろう。

 

実際、最終回後のアフタートークまで観終わって私が最初に思ったのは

(うわー…福田萌子さん、最後の最後で株を落としたな…)

という、今後の萌子さんに対する心配だった。

もちろん、傷心を抱える杉ちゃんの今後の作品・活動についても心配はしたけれど、今シーズンで最も好感度が上がったのは杉ちゃんだったし、何よりどんな物事も多角的に(それもポジティブに)捉えられるお人柄を見てきたので、どちらかというと杉ちゃんに対しては期待を込めて見送れる、そんな感じだった。

 

私が“萌子さんが株を落とした”と感じたポイントは3つある。

 

①ルールを守らない

②“ 私の旅”“ 私の人生”という自分本位さ

③正論でまとめるつまらなさ

 

①ルールを守らない

これについては2on1で例外的に2人を残した時点で言えることだが、リアリティ・ショーとは言え“ショー”である以上、番組の趣旨を理解した上で参加している訳だし、スポーツ同様、ルールを守って然るべきでは?とは思う。

何より《空気を読む》ことを執拗に求めてくる日本のメディアに対して《空気が読めない》《使いづらい》という印象を、番組を通して見せつけてしまったことは今後マイナスではないのかな、と。

 

②自分本位さ

サーファーの萩原さんが訴えていた通り、男性陣に“何故?”“どうして?”“矛盾してない?”と詰問する場面がありながら、いざ自分が詰問される側に回ると「これは私の旅」「誰かのための決断じゃない」「私の人生」の一点張り…まるで“あなたには関係ない”と言わんばかりのシャットアウト。

(…それを言っちゃあおしまいよ…)と思わずにはいられなかった…。

 

③つまらなさ

最近何かのワイドショーでロジハラ(ロジック・ハラスメント)なる単語が紹介されてたんですが、萌子さんの言葉は本当に良く考えられていて、英語の直訳のようにハッキリしている。逆に言うと遊びの部分が無くて面白みに欠け、ド正論過ぎるということ。畳み掛けられると、反論が一切出来ないくらいこっちが追い込まれる。全編を通して全く隙がないところが、エンタメとして非常に残念。

 

もちろん、これらに対して全く逆の意見があることもうなずける。

バラエティだからと媚びを売るような真似をせず、ある意味しっかりと正面からこの番組企画に取り組んだ姿勢に、共感した視聴者が多くいることも確かだ。

 

しかしながら、少なからず(番組製作者の演出により)最終回までの展開にドラマを期待してしまった身としては、非常に残念な結果となった。

多分に漏れず、すっかり杉ちゃん派として最終回に臨んでいたので「もう杉ちゃんに会えないと思うと悲しい」「話したいことがまだまだたくさんある」と涙を流す萌子さんに対して「だったら杉ちゃんと付き合ってよ~!」と叫ばずには居られなかった。

実際、その後観たドラマ『リモラブ』で主人公がチャット相手と付き合って「正直5mmも好きか分からないけど、この関係を終わらせたくなかった」と言い放つシーンで「そうよ!これよ!付き合う理由なんてこんな簡単な事でいいのよーーーー!!」と叫んだことはここだけの話。

結婚も出産も、ちゃんと考えてしまったら、あまりの先の見えなさに躊躇するものなのだ。

 

しかし一方で“ん?ここで杉ちゃんの恋が成就したら、これ完全に杉ちゃんの物語だよなぁ”と思ったりもしていた。番組の演出具合なんて、萌子さんは知る由もないだろうが、結果として杉ちゃんの物語になりかけていたバチェロレッテを、最後の最後で《福田萌子の物語》として取り戻した感もある。

話は戻るが、これは誰のための決断でもなく、萌子さんの萌子さんによる萌子さんのための決断だったのだ。

 

実は1話目から“萌子さんは誰も選ばないんじゃないか”“あの中に萌子さんが認める相手がいるとは思えない”と周囲に話していた私。

何故なら彼女が最初から《真実の愛》なるものを掲げていたために、嫌な予感しかしなかったのである。

個人的に《真実の愛》というものは死ぬ時に見付かるものだと思う。いよいよ今際の際という時に、とある誰かやとあるエピソードがよみがえってきて(ああ…あれが私にとって真実の愛だったのね…)と実感するようなものではないのか。

そんなものが2ヶ月あまりで見付かるはずもない。万が一の可能性として、萌子さんが死に際に思い返すのが、この番組での出来事になるのかもしれないが。

 

うーん…“リアリティ”という部分で言えば、すごくリアルだったけど、やっぱりショーというかエンタメとして楽しみたい下世話な自分がいるので、次のバチェロレッテは恋愛体質で惚れっぽい、引っ掻き回してくれるような女性がいいなぁ。

最終回配信後の萌子さんのインタビューで「あれ?このまま男性陣に任せてたら、誰も好きにならないな。こっちから好きになるように努力してみるか」と、途中自ら方向転換していたことを明かしていて、心底ガッカリした。萌子さんは旅を通して、真実の愛どころか誰に対する恋心さえ見いだせなかったのだ。

これはバチェロレッテにとっても参加男性にとっても非常に残念なことだ。次はせめて恋に落ちる過程を見せて欲しいと願う。