彼女が会社を辞めたワケ。
今年1月に入社した新人さんが、7月末で退職した。
結論として、彼女の《本当の》退職理由は分からない。
分からないから、もやもやするので書く。
もしもう一度彼女と話す機会があれば、本当のことを話して欲しい。
絶対に絶対に責めないから教えて欲しい。
それほどに私は彼女の退職を悲しく思っている。
彼女の経歴
出身地である北陸のディーラーで働いたあと、結婚を機に上京、その後コールセンターを経て、今年1月うちの会社に入社した。
募集しても募集しても人が集まらない中、好感の持てる接遇と資格取得に意欲を持った素晴らしい人材だった。
コールセンター業務では、シフト制のためご主人と休日を合わせることが難しく、日曜が定休のうちの会社でぜひ働きたいとの話だったようだ。(私は面接に参加していない)
入社後の彼女
正直入社が1月というタイミングは、うちの会社は繁忙期の始まりにあたり、そこから5月くらいまで忙しい時期が続くので、いきなりそんな忙しさを目の当たりにしたらすぐに辞められてしまうのではないかという懸念もあった。
しかし彼女のいたコールセンターに比べれば、事務所内の殺伐とした空気も軽いものであったようで、しっかりと丁寧に仕事を覚えてくれた。マイペースということもなく、きちんとスピードも意識してくれた。比較的オタクが多い職場で、アニメや漫画の話にも参加していたし、雰囲気も会社に合っていたように感じられた。
仕事もできるし、電話応対も抜群だし、本人の仕事に対するやる気も感じられたので、私も含めた全員が「まあ、あと5~6年は安泰だな」と漠然と捉えていたのだった。
突然の退職
7月末、彼女が初めて体調不良で会社を休んだ。
月末ということもあって、休まれることは会社にとっては痛手であったが、私は個人的に元々彼女が重い生理痛を抱えていることを聞いていたので「入社から半年も過ぎたし、緊張からそろそろ不調が出てもおかしくないよなぁ」などと思っていた。
週明け、午前中は事務長と何やら話していたが、やはり体調面で相談をしているのだろうと思っていた。会議室から出てきた彼女は、いつもと変わらず積極的に電話に出て、事務処理もこなしていた。
しかし事務長から社内メッセで通達されたのは、彼女が今月末で退職するという内容の文書だった。退職理由は「クライアントからの電話に耐えられない」というものだった。
クライアントからの電話に耐えられない?
まあ、例えばこれが特定の会社からの電話についてであれば「その会社からの電話は出なくていいよ」と言えたかもしれない。
しかし彼女が発したのは、うちの会社の売上の98%を占める、大手不動産会社の名前だった。それを出されてしまったらすべての電話に出られないし、頼める仕事がなくなってしまう。
もちろん、彼女の言い分も分かる。TVCMも流しているような大手不動産会社だが、とにかく横柄で人間性や社会性を疑うような人が多いのが実情で(当然ちゃんとした人もいるけど少数)こちらはいつも無理難題を押し付けられているのだ。何回も何回も「この日までに内装は終わらない」と説明しても「入居日が決まってる」の一点張りで、挙げ句うちの社長に泣きついて、社長からも「なんとかしろ!」と言われるばかり…こんなことをずーっとずーっと毎日毎月毎年やってるのだから疲弊もする。
しかしコールセンターで5年も働いていた彼女が、その不動産会社からの電話だけでパニック障害の初期症状に陥るまで追い込まれるものだろうか?
私達は彼女に騙されていた?
勝手な想像だが、コールセンターのほうがよっぽど様々な無理難題を押し付けられたり、罵詈雑言を浴びせられることが多いのではないか?
更に彼女の前職の退職理由は「休みが不定期」という部分で、仕事内容が理由ではなかったはずだ。
ここまでくると彼女への疑いが頭をもたげてくる。
- そもそもこれまでの経歴に嘘があった
- 電話に対する不満は建前で、他に退職理由がある
やはり2の可能性が圧倒的に高いであろう。
同僚のNさんは、彼女の指導係であったPさんの当たりが強かったのではないかと分析していた。
確かにPさんは“部下にすれば優秀で助かるけど、上司にしたら気難しくて扱いづらい”タイプの人である。仕事はきっちりこなすが、それを周囲にも求める、いわゆる「圧が強い」のである。
しかし彼女自身は「自分は仕事をしている」という自負があるため、自分が原因だとは思っていない。同時にもし自分が原因だとしても、この程度の自分についてこれないなら早々に辞めるべきと捉えているフシがある。これは本当に難題であるのだが…。
本当のことが知りたい
しかしPさんが原因ということは憶測に過ぎない。彼女はあくまでも電話応対が苦痛ということを理由に退職してしまったのだから。
でももしPさんが原因であれば、第2第3の退職者を出さないためにも対応を考えなければならない。もしかしたらPさんですら理由ではなく、会社全体の、根本的な何かが間違っているかもしれないのだ。
だから本当の退職理由を教えてほしい。
前日まで「繁忙期までに色々仕事を覚えたい」と言ってくれていたあなたに。
彼女の退職が残念でならない。