*Complex+Drive*

勝手に上から目線の、真っ黒な。

女は怖いよ。

先日、新しい事務の正社員の女の子が入ってきた。
当初、かの女ボスも「彼女気が利くし良さそうじゃない」と好感触を示していたし、サブリーダーのAさんも「(教育係の)Bさんも何にも言ってないから、いいんじゃないかな」「なんか問題があったらすぐに愚痴るからねー、Bさんは」などと、おおむね好意的に受け止められていて、横で聞いていた私は(どうせ私は気も利かなくて、Bさんにも愚痴られていたんだろうよ…)とブラックモード全開でキーボードを叩いていた。

しかし新人のWさんが、ある日体調不良で早退したのだが、その理由が悪かった。

「病院に行ったら軽い熱中症と診断されたので、明日もお休みします」


……
………熱中症?

この寒いくらいクーラーが効いている事務所で?!

結果的に彼女は一週間仕事を休んだ。

それでなくとも、うちの会社は名前を覚えるのも馬鹿馬鹿しくなるくらい人が入れ替わる会社なので、事務所内は一気に雰囲気が暗転した。

熱中症とかありえないよね」
「休むって電話も、わざとらしくすごいハァハァしてるの」
「もう来たくないならこんなことしないではっきり言えばいいのに」
「元々なんか、仕事頼んでも返ってくる質問が意味分からなくて」
「普通○○って言ったらしないじゃん。でもすごい数えたりして、ちょっと変わってるなって思ってたんだよね」

最初の好印象はどこへやらとはまさにこの事で。

翌週から彼女は復帰した。すごく頑張っていたから、一度落ちた評価を取り戻そうと必死だったのだろう。この頑張りなら再評価される日も近いんじゃないかと思わせる頑張りっぷりだった。

しかしながら教育係Bさんの告げ口により、彼女はやはり退職することとなった。まったく人材ってやつをなんと軽く見ている会社だろうと思う。経費削減と言いながら、人材費ひいては教育費をどう考えているのか、いつか社長に訊いてみたいものだ…それはきっと辞める時だろうけど。

Wさんが辞めて良かったことと言えば、反比例して私の評価がちょっとだけ上がったことだ。要は「仕事は遅いけど、多少なりとも仕事を覚えて対応してるだけまし」であり、これ以上辞められても困るからちょっと優しくしてやるかという一時的なものだけれど…。

なかなか後輩が増えないので、自分の仕事が一向に減らない。

そして「こんな会社で働き続けられてる自分って実はすごいんじゃないか」と思っている。