7月の終わり。夏の始まり。
梅雨も開けると今年ももう終わったなぁと思う。
多くの人がそうだと思うが、夏は何だか心がざわついてしまって苦手だ。
その夏のざわめきが好きな人もいるだろうけど、私は落ち着かなくて嫌だ。
毎日が同じ繰り返しだったらと願う私にとって、突如与えられる40日間の“夏休み”という巨大な異空間は、気持ちを持て余すのに十分な存在だった。
そんなぽっかりとした夏休みを失って、早20年弱。
社会に出てからは“夏休み”という言葉すら存在しない仕事ばかりが続いて、連休を取ることさえ頭になかった。
ある意味、自分が求めていた、予期せぬトラブルを抱えた[日常の延長]が夏にも続くこととなる。
それでも仕事というのはいつも同じことでは回らなくて、どちらかというと割り込み仕事や理不尽な要求の連続で、日常という言葉にある安穏としたイメージとは程遠く、日常そのものをごった返しながら、ここまでゴロゴロと身を削って生きてきたように思う。
今年の二大イベントであった引っ越しと猫を飼うことは既に達成してしまった。
我ながら感心するけど、平穏な日常の繰り返しが欲しいだけなのに、私の人生は常に変化している。
猫は想像以上に大変だった。まだ子猫だからどこにでも登るし、何でも噛むし、気がつくと足元にいる。
いつでもほわほわあったかい彼が近くにいてくれるのは癒されるけれど、それ以上に彼の身を守ることと、自分のご飯を守ることに精一杯になるとは思わなかった。
彼は火の点いたガスコンロに平気で飛び乗るし、隙あらば私のご飯やコーヒーに口をつけようとする。
やんちゃでわんぱくで猫ノイローゼ気味にもなったけど日々折り合いをつけている。
何せこれから10年以上一緒に過ごす家族なのだ。
7月の終わり、夏の始まり。
安穏とした日常を求める。